悪い天使を従えて、夜の魔王は少女のもとに訪れた。星空を映す瞳に嫉妬して、両目に手を翳すと、両方の瞳を、遥か彼方に滅んだ、悲しみに泪する亡霊の、彷徨う、かつての王国の宝物庫に隠してしまった。少女はいつしか星空を忘れていった。少女は嘆いたけど、泪を流す瞳はなく、代わりに、牢の外の花園。揺れる花々が泣いた。涙が宝石となって、きらめき、落ちた。やがて夜の魔王は少女が瞳を取り戻しにやってくるのを恐れた。そうして少女を朝から晩まで暗い地下室に繋いだ。少女は歩むことを忘れるまで、何度も何度も、外に出ようとしたけど、叶わなかった。やがて諦め、いつしか歩むことを忘れていった。力をすっかりなくして、静かに横たわっているのは!沈黙の中で吐息が弱々しくなっていくのは!花々のふりふり泣く声をお聞き。そこに行けば少女に会えるかもしれない。