空の虚しさの飲まれた
白い病室から眺めた真っ白な曇り空の虚しさに飲み込まれたあの日から、
ずっと、どこか空っぽなまま。
何もない、あの日の空の雲の宙を、
漂うている気がして。
ラムネをコンクリートに落として割れた音、お祭りの屋台でお手伝いをする母の写真、木陰に座り込んで一人で歌を歌ったこと、
私の前を走馬灯列車が、もしかしたら明日かもしれないけれど、足音はまだ聞こえないのに、私の目の前をあっという間に通り過ぎていく。
風に服が、髪が、ばたばた、揺れる。
真っ暗な世界で、
蛍火のような、灯の一つ一つが連続的に繋がっては、過ぎ去っていく。
眺めては、私の想いも、
浮き上がっては、消えていく。
透明な血は、
ぱっくり割れた傷から流れ続けて、
時の川に、洗い流されていく。
世界は騒がしくて、
私の声は、
微風にさえ掻き消されてしまう。
静寂にさえ飲み込みれてしまう。
風が止んだ。
季節外れの走馬灯電車は過ぎ去った。
私は真っ暗の世界に座り込んだ。
眺めて、
前を、横を、後ろを、
涙がぽろぽろ溢れて、
明日も、明後日も、
変わらないものがどこにありましょうか。
なぜ、なぜ、なぜ、
私は、
今を留めようとするんでしょうか。
終わりが怖いんです。
浅ましいのでしょうか。
終わりを、私は知っています。
たくさん語り合った時間も、
たくさん笑いあった時間も、
たくさん、たくさん、たくさん、
の一緒にいた時間が、
全てが嘘のように、
まるで夢だったかのように、
ほら、今日は空が青い、風は少し冷たい、もうそろそろ夏かな。
.....ずっと、ずっと、一緒にいたかった。